One Team!
千葉北総病院 術後疼痛管理チーム
手術後の痛みを早期に和らげて患者さんのQOLを向上
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麻酔科 医局長/助教
神谷一郎先生(かみや・いちろう)
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薬剤師
木本陶子さん(きもと・とうこ)
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看護師
大津賀康章さん(おおつが・やすあき)
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医事課
谷口奈緒美さん(たにぐち・なおみ)
熱田智美さん(あつた・ともみ)
専門職に加えて事務スタッフもチームの一員
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─術後疼痛管理チームについて紹介してください。
神谷:「疼痛」とは「痛み」のことです。麻酔科医、看護師、薬剤師からなる術後疼痛管理チームは、手術翌日から術後に生じる痛みを和らげる処置を行います。できるだけ早く痛みを和らげることで、術後合併症の減少、早期離床に役立つと考えられています。術後疼痛管理加算という診療報酬が認められるには診療報酬明細書(レセプト)を申請する医事課スタッフの存在が不可欠ですから、彼女たちもチームの一員だと考えています。
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後列左から、吹野、采、大津賀、熱田、木本、出穂、小泉
前列左から、金部長、神谷医局長
─各職種のチームにおける役割を教えてください。
神谷:麻酔科医は手術の翌日朝に回診して、患者さんの痛みの様子を看護師に伝えたり、鎮痛剤を追加する必要があるかどうかをプロトコルに従って判断します。
大津賀:看護師は医師の回診後に患者さんと直接話して、痛みの具合、薬の副作用による気持ち悪さなどを聞き、処置の必要性を判断します。また、術後疼痛管理チームが活動していることを示すポスターを掲示して、患者さんに情報提供しています。
木本:薬剤師は患者さんの肝機能や腎機能の検査値を見て、処方された麻酔薬が妥当かどうかを判断します。術後の患者さんに対しては、各診療科の担当医が痛み止めの薬を処方していることがあるので、そういった薬を使って良いかどうかも含めて、安全に術後疼痛管理ができるよう判断する必要があります。
谷口:私たちは、その患者さんが診療報酬を算定する条件を満たしているかどうかを確認して、レセプトを作成します。はじめの頃は対象外の患者さんが含まれていることもありましたが、今は先生方がよく確認してくれています。
専門チームの存在を知ってもらうことが重要
─今後に向けた課題があれば教えてください。
神谷:チームのメンバーは常にコミュニケーションを取り合っていて、困ったことがあればすぐ相談し合えるところがこのチームの強みだと思います。理想をいえば、麻酔科医がもう少し増えてほしいと思います。そうすれば痛みに応じてさらにきめ細かな対応ができるようになりますし、担当医や病棟看護師ともさらに緊密な連携ができるはずです。
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木本:薬剤師もマンパワーが問題です。薬剤師に余裕ができれば、ベッドサイドで患者さんと直接話して、麻酔薬や鎮痛剤について説明することもできます。また、病棟の担当薬剤師との連携も進めていかなければいけないと感じています。
熱田:医事課では、これまで記録したものをデータとして示すなど、今後に役に立つことを考えていきます。
大津賀:これまでにも院内向けに周術期看護というスキルアップ講習を開催したことがあり、その中で術後疼痛や気持ち悪さなどについて講義を行ってきました。そういったところから術後の痛みに対する私たちの活動が院内でも少しずつ認識されるようになったので、引き続き啓発活動を進めていきます。