One Team!
千葉北総病院 低侵襲ロボット手術センター
互いを信頼することで安全なロボット手術を実現
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泌尿器科部長/低侵襲ロボット手術センター長
鈴木康友先生(すずき・やすとも)
泌尿器専門医・指導医
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手術室看護部
菅野怜奈さん(かんの・れな)
手術室看護師
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ME部/主任
黒田潤さん(くろだ・じゅん)
臨床工学技士
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資材課/係長
篠田博幸さん(しのだ・ひろゆき)
ダヴィンチ導入準備から始まった多職種連携
─専門職の皆さんそれぞれの役割を教えてください。
鈴木:医者はダヴィンチを使って手術をする術者です。ロボット手術は一般的な腹腔鏡手術より入院期間が短く、術後の合併症が少ないなど、「低侵襲」という名称にふさわしい手術で、泌尿器領域は今ではほぼ全ての手術がロボット手術になっています。
黒田:臨床工学技士は、医療機器の保守・管理、生命維持管理装置の操作を行い医療安全に貢献する専門職です。手術ロボットは術者の手となって患者さんの体内に入る機械ですから、先生方が集中して手術できるように心掛けています。普段は手術前日に調整したうえで当日朝にも再確認をしますし、新しい術式を導入するときは全員でシミュレーションを行い導線などを確認します。
篠田:資材課は院内で必要な物品の購入や施設・設備工事などを行います。ダヴィンチ導入のときはメンバーと相談して新たに電源工事を行ったり、モニターの設置位置など手術を行いやすいように対応しました。その他、現場の要望にできるだけ迅速に対応できるよう、準備段階から会議にも参加しています。
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菅野:手術室看護師はロボット手術だけでなく全ての手術を担当していますが、ダヴィンチ導入のときには数人の看護師が自ら手をあげて、手術室内での看護師の導線について意見をしたり、マニュアルを作成しました。他施設に見学に行き、そこでの課題などを聞いて当院なりのやりかたを検討することもあります。
─このセンターの強みはなんでしょうか。
鈴木:みんなロボット手術は未経験で、まったくのゼロの状態からスタートしたことがかえって良かったのかもしれません。私も手術のことだけで手一杯でしたが、プロ意識の強いメンバーたちは進んで自分の仕事を全うできる人たちなので、お互いがお互いを信頼して任せられるということが強みだと思います。
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左から、菅野怜奈(手術室看護部)、篠田博幸(資材課)、鈴木康友(泌尿器科)、黒田潤(ME部)。中央手術室で手術支援ロボット「ダヴィンチXi」をバックに撮影。
ロボット手術の経験を医療の質向上に生かす
─今後への展望や解決すべき課題はありますか。
篠田:千葉北総病院は付属4病院の中でもロボット手術に力を入れているので、4病院共通の物品を調達するなど、当院が中心となって進めるような流れをつくっていければと思っています。
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黒田:安全性の追求を第一として、効率化も追求する必要があります。増え続ける新たな術式にも対応できるように、効率的な機械の使い方やスタッフの教育を進めていきます。
菅野:看護部も同じです。ダヴィンチ2台体制になったことで手術件数もさらに増えましたから、効率化を進めることと、誰でも同じ水準の対応ができるようにするための教育が必要です。
鈴木:このセンターで本格的なチーム医療を実践してみて、異なる視点からものを見て意見を言い合うことが医療安全にとって大変有意義だとわかりました。これをロボット手術だけのものにせず、この経験を生かして医療全体の底上げにつなげたいと考えています。