One Team!
武蔵小杉病院 褥瘡対策チーム
褥瘡治療とともに褥瘡の予防ケアを重視
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形成外科部長/褥瘡対策委員長
赤石諭史先生先生(あかいし・さとし)
形成外科専門医
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看護部 主任看護師
野村好美さん(のむら・よしみ)
褥瘡管理者/皮膚・排泄ケア認定看護師
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栄養科 科長
森本千秋さん(もりもと・ちあき)
管理栄養士/病態栄養専門管理栄養士
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リハビリテーション室
宮本佳奈さん(みやもと・かな)
作業療法士
栄養、姿勢の面からも褥瘡予防に取り組む
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─褥瘡対策チームとはどのようなチームですか。
赤石:当院に入院中の褥瘡のある患者さんを対象に、できてしまった褥瘡のケアと新たな褥瘡ができないように予防対策をするチームです。寝たきり状態で動けない、栄養状態が悪いという状態が続くと褥瘡ができてしまうので、栄養管理をする管理栄養士、姿勢改善の提案ができる作業療法士などもいます。
─専門職の皆さんそれぞれの役割を教えてください。
野村:褥瘡対策では、1人の患者さんに対してさまざまな専門を持つスタッフが関わるので、看護師は多職種をつなぐゲートキーパーとしての役割が大きいです。また、当院には1年間の褥瘡研修を受けた院内褥瘡ケアナースが24人いるので、院内褥瘡ケアナースから伝えられる病棟情報の窓口にもなっています。
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後列左から管理栄養士の森本さん、看護師の湊さん、薬剤師の児玉さん、作業療法士の宮本さん、理学療法士の小高さん、医事課の郷右近さん、前列左から医師の石原先生、赤石先生、看護師の野村さん
森本:管理栄養士は、栄養管理計画書に基づいて患者さんの栄養状態を管理します。毎週の回診にも同行し、食事内容や栄養状態、摂取量などをチェックし、摂取量が少ない患者さんであればどんなものなら食べやすいかを尋ねたり、逆にこちらから食べ方などを直接アドバイスすることもあります。
宮本:私は、患者さんの姿勢に関する助言や、患者さんが安定姿勢をとれるようにポジショニングクッションを使った対処などをしています。回診にも同行させてもらうので、患者さんと看護師さんがいる場でポジショニングの指導ができますし、褥瘡部分を見て具体的な対策を検討できるようになり、リハビリテーション室全体でも意識が高まってきています。
赤石:医師は、軟膏の処方や壊死組織の切除など個別の患者さんへの治療を行う一方で、チーム内で必要なエアマットやウレタンマットの数を管理するなど全体の調整役でもあります。
チームで得たものを病院や大学全体に広げたい
―今後への展望や解決すべき課題はありますか。
森本:低栄養にならないよう引き続き栄養管理を続けていきますが、経口摂取の患者さんに比べて栄養管理が難しい経管栄養の患者さんへの低栄養対策をさらに充実させていきたいです。
宮本:チームで栄養や薬のことも勉強させてもらっているので、ここで学んだことをリハビリスタッフ間で共有していきます。また、病棟でポジショニングの勉強会を開くなど、こちらからも情報提供できればと思います。
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野村:医師の指導のもとで壊死組織の除去などの外科的な処置ができる特定行為研修を修了しているので、治療や処置にも積極的に関わっていきたいと思います。
赤石:このチームは優秀なスタッフが揃っていますが、予防は自分たちだけではできませんから、これからは教育にも注力していきます。専門分野ごとに教育動画を作成して学内にも公開し、多くの人が褥瘡について知識を得る機会を増やして、院内の褥瘡発生率を下げることにつなげたいと思っています。