One Team!
千葉北総病院 医療安全管理部
患者さんに安全な医療を提供するために
-
副院長・医療安全管理部 部長 医師
金 徹先生(きむ・ちょる)
麻酔科専門医/集中治療専門医/ペインクリニック専門医/緩和ケア認定医
-
医療安全管理部 看護師長
矢野 綾子さん(やの・あやこ)
医療安全管理者
-
ME部 技師長
御園 恒一郎さん(みその・こういちろう)
-
薬剤部 部長
實川 東洋さん(じつかわ・とうよう)
医薬品安全管理責任者
院内の隅々にまで目を配り
安全策を講じる
-
―医療安全管理部とはどのような組織ですか。
矢野:患者さんに安全な医療を提供するために医療システムを整備するとともに、職員の安全を守って働きやすい環境を作っていく部です。医療安全管理部には各部署の現場担当者からさまざまな報告が集まってくるので、問題の原因を探り、そのような問題が起きないように改善策を作ります。
金:病院内で起きる問題の多くはヒューマンエラーですが、人間は必ずミスをするという前提で、問題が起きないように仕組みをデザインしていきます。その方法には物理的デザインもあります。例えば、水道の蛇口は青が水、赤がお湯だと直感的に分かるのと同じように、誰でも無意識に動けて安全につながるようなシステムを作りたいのです。
-
医療安全管理部のメンバー。後列左から事務の川村さん、薬剤部の實川さん、ME部の御園さん、看護師の矢野さん、岩井さん、前列左から医師の鈴木先生、金先生、神谷先生
―メンバーそれぞれの役割を教えてください。
金:医師は診療に関わる問題の抽出を行うほか、全体のとりまとめをしています。
矢野:私は医療安全管理者なので、組織横断的な役割を担っています。医師、看護師、コメディカル、事務職員に至るまで、院内のあらゆる職種の方々から報告をあげてもらえるようコミュニケーションを取り、医療安全に関わる教育も行います。
御園:ME(メディカルエンジニア)部の臨床工学技士は、医療機器全般を見ています。医療機器で問題があったら、その原因が機器側にあるのか使い方にあるのかを見極め、安全に利用できるように改善します。
實川:医薬品事故の原因は多岐にわたり、薬剤部内でのエラーもあれば、看護師が薬を渡すとき、患者さんが飲むときのエラーなどもあるので、薬剤師が事象ごとに整理します。その上で、電子カルテ上の表記方法や印字の色などの改善策を講じます。
現場からの報告によりもっと安全な病院に
―医療安全管理部をどんな組織にしていきたいですか。
-
御園:モニターなど各診療科や病棟に設置されていてトラブルが起きやすい機器は同じ機種にするなど、院内全体で統一した運用ができるようになればと考えています。
實川:運用の統一は薬剤部でも重要なテーマの一つです。例えば、病棟によってインスリン投与法が異なることがあるので、そういった小さなことにも介入して、現場で起きる事故を未然に食い止められるようにしていきます。
矢野:以前はインシデント(偶発事象)報告をすると責められるのではないかと思われたようですが、今ではエラー対策のためだと理解してもらえて報告数が増えました。さらにヒヤリハットの報告が増えて、有害事象が減ることを目指しています。
金:医療や技術の進歩とともに、どんどん新しい医療機器や治療法が登場します。そうなれば想定外の問題も起きるはずですから、未知の問題にも対応できるようなシステム、組織を作っていきたいと思います。