カラダカラ
脳や血管の健康に大切なDHAやEPAが豊富な青魚
さんま
カラダカラ Vol.23
脳や血管の健康に大切なDHAやEPAが豊富な青魚 ~「さんま」 ~
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ダカラPoint!
さんまには、必須脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)がたっぷり含まれています。DHAは記憶力や認知能力の向上に役立ち、EPAは血栓の生成を抑えて中性脂肪を低下、高血圧を予防する働きがあります。それ以外にも、骨の健康を保つカルシウムやその吸収を助けるビタミンD、鉄分などが豊富です。
さんまは、庶民流で食べるのが一番!
秋の味覚を代表する魚である「さんま」。さんまは「秋刀魚」と書きますが、江戸時代には、河岸に揚がるとお祭り騒ぎになったことから、祭りという字をあてて「鰶(さんま)」と呼ばれていました。※現在は、「鰶」と書いて「コノシロ」と読みます。
現在でも、秋になると各地でさんまの収穫を祝う祭りが行われ、特に「目黒のさんま祭り」は、古典落語の題材にもなり広く親しまれています。
落語の『目黒のさんま』は、「ある殿様が、目黒で食べた秋刀魚の塩焼きの味が忘れられず屋敷で食べようとしたところ、庶民の食べる下魚なのに!?と驚いた家来が、日本橋魚河岸からさんまを取り寄せ、骨を抜いて丁寧に油抜きをして提供。殿様は一口食べて『さんまは目黒に限る』と言った」というオチです。
庶民の流儀で、丸焼きにして内臓ごとがぶりと食べると美味しいものの、丁寧に調理をするとかえってまずくなってしまうという滑稽噺ですが、その理由は、さんまが「無胃魚」だから。餌を食べてから排出するまでの時間が短いため、丸ごと食べても内臓にえぐみが少ないのです。
近年は不漁が続き、値段が高騰して「庶民の味」から遠のきつつありますが、新鮮なさんまは、腹が硬く目の周りが透明で、体がまっすぐです。また、口と尾が黄色く、頭から背中にかけてもりあがって全体に厚みがあると脂がのっている証拠なので、選ぶときの参考にしてみてください。
魚のくさみを抑えて疲労を取る「梅煮」
今回のレシピは、旬のさんまにさっぱりとした梅干しを合わせた「さんまの梅煮」です。梅干しと一緒に調理することで、魚特有のくさみを抑えて、疲労回復や整腸作用も期待できます。
さんまは、水洗いする際に包丁でやさしく表面をこすると、目には見えないうろこが落ちてぬめりや魚臭さが軽減します。鮮度が命なので、よく洗ってしっかりと水気を拭き、一匹ずつラップに包んでおけば冷凍保存が可能です。3週間から1カ月を目安に自然解凍してから調理しましょう。
内臓まで食べられるのは新鮮なさんまだけですので、解凍後は必ず、火を通してから食べてください。
カラダカラRecipe!
さんまの梅煮
材料(2人分)
- さんま 2匹(300g程度)
- 梅干し 2個
- 【A】
- 砂糖 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- 酒 1/4カップ
- みりん 大さじ1/2
- 水 1と1/2カップ
作り方
- さんまは洗って頭を切り落とし、3~4等分にカットする。はらわたを取りのぞき、よく水で洗ってキッチンペーパーなどで水気を拭き取る。
- 鍋にAの材料と、種をぬいた梅干しを入れて混ぜ、中火にかける。煮立ってきたら、さんまを並べてひたひたになるまで水を足す。
- 再び煮立ったら弱火にし、穴を開けたアルミ箔やキッチンペーパーなどで落としぶたをして7~8分間煮る。
- 落としぶたを取り、さらに2分間煮ながら煮汁をさんま全体に回しかける。
- 皿に盛り付け、梅干しを添えれば完成。
百瀬 祐子さん(ももせ・ひろこ)
日本医科大学付属病院
栄養科 管理栄養士
病棟の栄養管理、病棟巡回、栄養指導業務に携わっている。体のために、美味しく、栄養を補える栄養管理を目指している。