カラダカラ
風邪のひき始めに、殺菌・抗炎症作用のある
長ネギ
カラダカラ Vol.20
風邪のひき始めに、殺菌・抗炎症作用のある ~ 長ネギ ~
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ダカラPoint!
「ネギを首に巻くと風邪が治る」といわれるのは、長ネギに含まれるアリシンに殺菌・抗炎症作用があるためです。アリシンは、揮発性が高く首に巻くだけで鼻や喉の炎症に働きかけますが、食物アレルギー予防の観点から、直接皮膚に触れないようにしましょう。また、血管を拡張させ、血流を促し体を温めるほか、食欲増進効果もあるので、風邪のひき始めに刻んで食べるのがおすすめです。
関東と関西では、好んで食べる部位が違う
「ネギ」には、御所の女房詞だった「一文字草(ひともじくさ)」という別名があります。これは、ネギの発する気が強く、奈良時代には「気(キ)」と呼ばれていたことから、一文字草という隠語が用いられるようになったためだといわれています。
11月から2月に旬を迎え、冬の鍋料理には欠かせない長ネギですが、好んで食べられる部位は、地域によって異なります。
関東では、長ネギの白い部分が好まれるので、土寄せをして白い部分に日を当てないように栽培する「根深ネギ」が主流です。群馬の「下仁田ネギ」や「上州ネギ」、埼玉の「深谷ネギ」「妻沼ネギ」「越谷ネギ」「吉川ネギ」などがこれにあたります。
一方、関西では、緑の部分が多く葉の軟らかな「葉ネギ(青ネギ)」が主流です。京都の「九条ネギ」や福岡の「小ネギ(万能ネギ)」、水耕栽培で作られる「姫ネギ」などがあり、日本三大ネギの一つである「岩津ネギ(兵庫)」は、根深ネギと葉ネギの中間のネギとされています。
また、長ネギは「ネギ坊主」が咲くと、成長が止まり、食感が悪くなりますが、実は、ネギ坊主自体は、炒め物やおひたし、天ぷらとして食べられます。凝縮した風味がくせになる味わいなので、興味があったら試してみてください。
トロはもともと下品な食材だった!?
今回紹介するのは、江戸発祥の「ねぎま(葱鮪)鍋」です。現在は、高級食材とされているマグロのトロですが、江戸時代までは、脂が多く傷みやすいため、客人には出せない下品(げぼん)な食材とされてきました。
そこで、おいしく脂身を食べる工夫として生まれたのが、ネギと醤油と共に火を通してから食べる「ねぎま鍋」。卓上調理器がわりの七輪が開発されたことで、客間にも運べるようになり普及しました。
当時は、醤油やみりんを使ったすきやき風で食べることが多かったものの、今は、出汁をきかせてさっぱりとした「ねぎま鍋」が一般的です。
春菊やえのき、豆腐などを入れてもおいしく、マグロは筋や血合を入れることで、ゼラチン質が溶け出して、とろとろの鍋になりますよ。
カラダカラRecipe!
ねぎま鍋
材料(2人分)
- 長ネギ 2本(200g程度)
- マグロ 200g
- 【A】
- 出汁 1カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 醤油 大さじ2
作り方
- マグロは1㎝幅のそぎ切りに、長ネギは3㎝幅のぶつ切りにする
- グリルなどで長ネギを焼き、焼き目をつける
- 土鍋に【A】を入れて、火にかける
- 煮立ったら、マグロと焼いた長ネギを入れてさっと煮たらできあがり
酒井 良子さん(さかい・よしこ)
日本医科大学付属病院
栄養科 栄養科長・管理栄養士
糖尿病療養指導士、NR・サプリメントアドバイザー、栄養相談専門士、人間ドック健診情報管理指導士を取得。生活習慣病の栄養管理に力を入れるとともに、栄養科の責任者としておいしい病院食を目指しメニュー改善に取り組む。