One Team!

多摩永山病院 褥(じょく)瘡(そう)対策委員会

褥瘡を治療するだけでなく原因の除去を重視

hippocrates 27号 2025年10月発行

医師・看護師をはじめ医療専門職のスタッフが相互連携しながら、患者さん中心の医療を実践し、専門治療ごとにチームで活動しています。今回のONE TEAM!は、多摩永山病院の褥瘡対策委員会を紹介します。
  • 褥瘡対策委員会委員長/
    形成外科部長

    藪野 雄大先生(やぶの・ゆうと)

  • 褥瘡管理者/
    皮膚・排泄ケア認定看護師

    白勢 彩さん(しろせ・あや)

褥瘡専門の医師・看護師と専門職が連携して対応

─褥瘡対策委員会の取り組みについて教えてください。

  • 藪野:毎月1回開催している褥瘡対策委員会では、全メンバーが集まって褥瘡の発生率や体圧分散マットレスの使用状況などを報告し、専門的な視点から意見を出し合って対策を検討します。また、入院中の患者さんの中でも特に褥瘡が深い患者さんを重点的に診ていく褥瘡回診を週1回行います。褥瘡回診では、形成外科医と皮膚科医がそれぞれ週替わりで担当し、白勢さんら皮膚・排泄ケア認定看護師と薬剤師と栄養士で協力して褥瘡の評価や処置をするとともに、病棟看護師や担当医に適切なポジショニングや処置、栄養管理についてアドバイスします。

  • チーム

    多摩永山病院の褥瘡対策委員会のメンバー

─多職種それぞれの役割を教えてください。

藪野:私は委員会全体のまとめ役であると同時に、褥瘡を専門とする形成外科医として外科的な処置を行うプレイングマネージャー的立場です。もう一人の医師である皮膚科医は皮膚の生理機能や真菌感染の有無など、皮膚科医としての視点で処置を行うというように、医師の中でも役割分担をしています。栄養士は病態を見ながら褥瘡の治療に重要な栄養状態の評価や管理を、薬剤師は褥瘡治療に用いる薬剤の適正使用や創傷被覆材などを提案する役割を担っています。

白勢:皮膚・排泄ケア認定看護師のところには、入院・外来含む院内全ての褥瘡についての報告が届きます。そこから褥瘡回診をする患者さん、皮膚・排泄ケア認定看護師で対応できる患者さんに振り分け、各病棟の褥瘡対策ケア担当看護師と連携して日々のケアを実践します。私たちは特定行為研修を修了していますので、必要に応じて医師の指示の下で血流のない壊死組織のデブリードマンなどを行うこともあります。資材課とは院内で必要とする資材について相談し、過不足のないようにリース契約の見直しなどを行います。

K

病院全体で褥瘡対策に取り組める体制にしたい

─褥瘡ケアで大事にしていることはなんですか。

藪野:褥瘡は治療をして症状をおさめるだけでは十分ではなく、原因を明らかにして、その原因を取り除かなければいけません。そのためにも多職種の力を合わせたチーム医療が不可欠です。褥瘡については患者さんや家族、医療者ですら正しい知識を持っていないことが多いので、各専門職がそれぞれの立場から説明していくことも大切になります。

  • チームのプロフィール

  • ─今後に向けた目標を教えてください。

    白勢:褥瘡対策委員会だけで全てを解決しようとせず、他科の医師や専門職たちも巻き込んで、病院全体で対策できるチームになっていきたいと思います。

    藪野:そうですね。病院全体で褥瘡に対する知識や意識が向上すれば、対象疾患の治療段階で褥瘡リスクを想像できて早めに対策をとることができます。多摩永山病院はすでにかなり充実していますが、さらにレベルアップするための勉強会を開くなど、私たちも積極的に働きかけていきます。

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