カラダカラ
「ナスニン」の強い抗酸化作用で“体の酸化”を防ぐ!
ナス
カラダカラ Vol.27
hippocrates 27号 2025年10月発行

「ナスニン」の強い抗酸化作用で“体の酸化”を防ぐ!
~「ナス」 ~
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ダカラPoint!
ナスの鮮やかな紫色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニン系色素「ナスニン」によるものです。ナスニンには強い抗酸化作用があり、動脈硬化や高血圧の予防、認知機能の維持、眼精疲労の改善などに役立ちます。そのほか、余分なナトリウムを排出するカリウム、「造血のビタミン」とも呼ばれる葉酸が含まれています。
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“秋ナス”は特別?
夏のナスとどう違う
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあります。その解釈は二つあり、一つは、ナスを食べると体を冷やすため、妊娠を望む女性への“配慮”として食べさせないようにする説。もう一つは、秋ナスがあまりに美味しく健康に良いので、姑が嫁に食べさせないという“嫁いびり”の説です。
由来の真意は定かではありませんが、「秋ナス」がここまで特別視されていた理由は、昔はナス自体、非常に高価だったこと。そして、強い日差しを浴びて育った皮の厚い夏のナスに比べ、秋ナスは皮が柔らかく、甘みや旨みが際立っている点にあります。
ナスの成分は、9割程度が水分ですが、栄養面でも優れています。とりわけ、ナスの食物繊維は形状がスポンジ状で、少量ながら腸内の不要なものを吸収するので、デトックス効果を発揮します。
日本では約200種類が栽培されており、もっともポピュラーな千両ナスをはじめ、皮が硬く中が柔らかな大長なす、肉質がしっかりして煮崩れしにくい丸ナス、白ナス、青ナス、生でも食べられる水ナスなどがあります。
おいしいナスの見分け方は、表面がつややかで色が濃く、皮にハリがあってヘタのトゲが鋭く尖がっています。
煮ても、揚げても、焼いてもおいしいナス
今回紹介するのは、「焼きナス浸し」です。味が染み込みやすいナスならではの特性を活かし、口の中で煮汁がジュワッと広がる一品です。
焼いても揚げてもおいしく食べられますが、皮目に少量の油を塗ってから焼いたり揚げたりすると、余分な油を吸わずヘルシーに仕上がります。
また、ナスは空気と触れるとポリフェノールの作用で変色するため、調理直前に切って5分ほど水にさらすか、切った直後に少量の塩を振って水分とアクを抜いてから調理しましょう。アクを抜いてカットしたナスを冷凍しておけば、めんつゆを入れてレンジで加熱するだけで簡単におかずが完成。冷凍のまま味噌汁に入れると、栄養を余すことなく摂取できます。
野菜室で保存する場合は、新聞紙にくるんで乾燥を防ぎ、2~3日を目安に使い切るようにします。薄くスライスして天日干しにすれば、保存性もアップします。
カラダカラRecipe!
焼きナス浸し
材料(2人分)
- ナス 2本
- わけぎ 10cm程度
- 油 大さじ2
- めんつゆ 250ml
作り方
- ナスを水洗いした後、ヘタを切り、縦半分に切る。皮に切り込みを入れ、水にさらす。
- キッチンペーパーなどで水気をふき取ったナスを、油をひいたフライパンに入れる。ナスは皮側から焼き、少し焼き目がつくように両面各3分ほど焼く。
- 余分な油が出ていたらキッチンペーパーなどで吸い取る。めんつゆを加えふたをして煮立ったら中火にして5分程度煮込む。
- ナスを器に盛り付け、わけぎ(生姜・みょうが・長ねぎなど好みのもの)を載せる。
※ 温かいままでも、冷やしても美味しく召し上がれます。
山脇 豊美さん(やまわき・とよみ)
日本医科大学付属病院
栄養科 管理栄養士
病棟での栄養管理や栄養指導業務、給食管理業務に携わっています。必要な栄養が届けられるような栄養管理や、美味しいと言ってもらえる食事が届けられることを目指しています。